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日新丸 作業課 捕鯨銛

おやじメモより

 赤道祭も終わり日増しに南下オーストラリアも間近い最早や暴圏がやってくるだろうが、まだまだ暑い中で銛手入れ中の作業課

 いよいよ仕事がはじまったわけですね。
 この銛(もり)は一本60kgあるそうです。
 おやじから聞きかじった話を思い出すと、この銛は命中した後に先が開くようになっていて、釣り針のカエシのような役割を持っているそうです。
 それでは本当かどうか調べてみましょう。

 勇魚捕る漁具類によると、この図が一番近そうです。

ノルウェー式捕鯨砲
 1864年ノルウェー人のスフェント・フォインによって開発された炸裂弾体と銛を一緒に発射する砲。 口径90㍉・75㍉・50㍉等がある。大きい鯨ほど口径が大きい砲を用いました。現在、ミンククジラには口径75㍉砲を使用。動力船の船首先端部に設置して用い

たので効力を発揮し従来の捕鯨法を一新しました。 日本では明治30年代頃に導入され、現在も調査捕鯨で使われています。

ノルウェー式銛
 銛先端部に火薬が入った平頭モリ先(グラナッツ:炸裂弾体)を付け、4本爪を持つ首部が折れ曲がる仕掛けのモリ。 溝部に弾力性がある28㍉ナイロンロ-プを付けます。このモリは捕鯨砲の先端から差し込みます。 調査捕鯨では銛先重量:5キログラム、モリ部:40キログラム、合計45㌔のモリを使っています。口径90ミリでは重量60㌔でした。 銛先はクジラの体内に入って炸裂する様に仕掛けられています。

 五百年以上といわれる日本捕鯨史の中で、銛の先端はずっと尖っていました。ところが近代捕鯨ではこの写真のように先端が平頭になっています。
 普通に考えると先が尖っている方がいいと思うのですが・・・
 実はこれ、日本の発明なのです。
 古式捕鯨時代は複数の船から何本も銛を刺して鯨と戦っていました。それが大型キャッチャーボートの出現で、捕鯨砲が大きくなり銛も大きくなったのですが、意外に当たらないのです。遠くから打てるようになった分、入射角が狭くなり、石投げ遊びのように銛が水面や鯨に当たると空中へ飛び上がってしまうのです。

 そこで、昭和26年に東京大学の平田森三さんが、銛の先を切り落としてしまったのです。
 「そんなことしたら、余計に刺さらないでしょう」と誰もが思ったのですが、実際に使ってみると摩擦抵抗が増えた分海面で跳ね上がらなくなり、しかも銛が飛び出す勢いは10センチ程度銛の先を平面にしても鯨体への貫入性能においてほとんど影響しませんでした。この発明のお陰で飛躍的に命中するようになったのです。
 平頭銛はやがて諸外国でも採用されるようになり、世界の常識となりました。
 一説によると、宮城県石巻で開発されたという話も有りますが、平田森三さんが宮城県出身だったのか、他に発明者がいたのかは、まだ私の中ではハッキリしません。ひょっとすると実験を宮城で行ったのかも知れませんしね。まだ、なんとも言えません。

42.日新丸 赤道祭 100m競争

 騎馬戦 竹馬 ムカデ競争

参考資料:

夕暮れ

銛の手入れ中

近海捕鯨

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