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マッコウクジラ 2 龍涎香(りゅうぜんこう)

おやじメモより

 抹香鯨の頭部の皮 皮15cm前後 ハシゴを掛けてタバコを呑み乍ら

 タバコを呑みながらだなんて、今じゃ考えられない風景ですね。

 和名「マッコウクジラ」の漢字表記は「抹香鯨」と表します。

鯨昔話 龍涎香(りゅうぜんこう)
 時は7世紀。お国はアラビアに、アンバーという香料がありました。それはそれはステキな香りを漂わせ、多くの人を魅了していました。しかし、なかなか手に入れる事が出来ません。

 アンバーを手に入れる方法は二つ。たまたま海に浮かんでいるものを見つけるか、海岸に打ち上げられた龍涎香を偶然発見するしかないのです。

 やがてヨーロッパへ伝わると、同じ呼び方をし、使い方も同じだった琥珀(アンバー)と区別する為に、ゲルマン語のグリス(灰色)が付けられてアンバーグリスと呼ばれるようになりました。

 一方この香りを中国は、この世の物ではない香りだと感じ『龍のよだれが固まったもの』という意味で、龍涎香と名付けました。

 中国では香りを楽しむだけでなく、神経や心臓に効果のある漢方薬としても使用されました。

 日本に伝来したのは、室町時代(1336–1573)の文献に龍涎香とあることから、およそ15世紀前後であろうと考えられます。


 香料として使用する場合にはエタノールに溶解させたチンキとして使用され、香水などの香りを持続させる効果がある保留剤として高級香水に広く使用されています。 


 香料であり医薬でも媚薬である龍涎香。それは海岸に打ち寄せられたり海に漂っているものを偶然に頼って見つけ出す以外、手に入れる方法がありませんでした。

 しかしその実、この香料の正体はマッコウクジラの腸内でごくまれに形成されることがあり、自然に排泄されることもあった結石であることが分り、捕鯨が盛んに行われる時代に入ると狩ったマッコウクジラから直接採り出すことが可能になったのです。

 

  この、マッコウクジラの「龍涎香」が、抹香(まっこう)に似た香りを持っていることから、近代日本の博物学では中国語名「抹香鯨」に倣(なら)って「抹香(のような龍涎香を体内に持つ)鯨」との意味合いで呼ばれ、そのまま生物学名として定着したものであります。

 因みに抹香とは、粉末状の香のことで、かつては、沈香やセンダン(栴檀)などが用いられたが、現在は主にシキミ(樒)の樹皮と葉を乾燥して、粉末にしたものが用いられる。
 古い時代には、仏塔などで蒔くように使われたが現在では主に焼香用に用いられる。また、沈香などの抹香に貝殻などの甲香(こうこう)を混ぜて練ったものを練香(ねりこう、=煉香)といい、合香(あわせこう)、薫物(たきもの)などとも称される。

 

 

 商業捕鯨が活発になった事で、抹香鯨から直接採り出せるようになった龍涎香でしたが、1982年の商業捕鯨モラトリアル(一時停止)や、1988年に日本が北太平洋でのミンク鯨と抹香鯨の商業捕鯨を中止にした事で、龍涎香を直接採取する事ができなくなりました。つまり、昔に戻ったわけです。龍涎香が海岸に打ち上げられないと手に入らないという事になりますが、実際に下記のような事が起こり始めました。

 2006年。オーストラリア人の男性が見つけた14.75kgの竜涎香が、2900万円。

 2012年8月には8歳の男の子が0.5kgほどの竜涎香を発見し、620万円。

 2013年1月には、イギリスの男性が海岸で3.2kgほどの竜涎香を拾い、50000ユーロ(約630万)を手にしたらしい。

 日本にも流れ着くかもしれない龍涎香ですが、それなりに研究していないと見分けがつきません。

 一攫千金を狙う方は、今直ぐ図書館で学んでおきましょう。

 龍涎香の構成成分の大部分はステロイドの一種であるコプロスタノールとトリテルペンの一種であるアンブレインであり、龍涎香の価値は重さだけでなく、アンブレインの含量が高いものほど品質が高いとされています。

 よって、海岸で龍涎香を見分ける事が出来たとしても専門家に調べてもらう必要がありますが、その前に本物かどうかを見極めるには下記の方法がよいそうです。

【ワイヤーテスト】

① 針やワイヤーを火で15秒ほど炙る。

② それを竜涎香に3−4mmほど突き刺してみる。

③ ワイヤーの周りが溶け、黒く液体状に沸騰するか確かめる。

④ 指で触ってみてタールのようにベトつくか確かめる。

⑤ その物質が付いたままのワイヤーを火で炙ると白い煙が出るか確かめる。

③から⑤までが全部確認できたら、それはお宝の可能性が高い。How Stuff Worksより

 

 但し、代用品の開発も進んでいるようです。いつまで高価な値段がつくかは分かりませんが、本物としての価値は残るでしょう。なにしろ抹香鯨100頭に1頭の割合ですし、他の鯨には無いそうです。

 

 「捕鯨に生きる」という本を読んでいたら、おやじのアルバムにある写真が2枚も使用されていた。この謎も不思議なのだが、本の解説が間違っていると思われます。

 写真の上に「 5 南鯨戦後第一回の出漁」、写真の下に「シロナガス鯨の解体」と記されている。解説では「第一回の出漁で日新丸船団は、大漁につぐ大漁で、シロナガス鯨ばかりを狙い、ナガス鯨は余程大きなもの以外は捕らなかった。」と書かれているが、どう見てもマッコウクジラでしょう。シロナガスクジラならウネスがあるはずですが、この写真の鯨にはありません。本の構成者が写真を入れ間違えたのかも知れませんね。

参考資料:wikipedia.龍涎香

     How Stuff Works

抹香鯨の解体

製品 龍涎香

ラジオブイ

抹香鯨の首

 

マッコウクジラ メートル法

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